編入体験記(名古屋大学工学部化学生命工学科)

はじめに

名大を第一志望にしたのは4年生の初め頃で、理由は触媒化学に興味があり、日本でも高いレベルの研究がされているためです。また、受験を意識し始めてから旧帝大クラスの大学で勉強したいという野心もありました。

 

受験における自分のスペックについて説明すると

米子高専物質工学科

順位 1年10位 2年8位 3年7位 4年12位(多分)

TOEIC 705点

 

このくらいのスペックは旧帝や東工、筑波を受ける層でははいて捨てるほどいるので、

というか下の方かも

参考までに

 

対策については ↓ から

 

yoshiki-okym.hatenablog.com

 

1日目 筆記試験

化学生命工学科の受験者は6人で定員は若干名です。倍率は例年2~3倍程度ですが、大事なのはボーダーを超えることなので気にしなくていいと思います。

 英語(2時間)

長文問題:自動運転に関する連邦や自治体の議論について

短文の和文英訳、英文和訳それぞれ5問ずつ

 

農工大と打って変わって文章量、単語の難易度が上がりました。時間も2時間あるので英語が苦手でなければ時間内に完答可能です。

出来は8~9割

数学(2時間)

  • 微分方程式に関する導出と応用の問題
  • 4桁の10進数で同じ数字が隣同士になる確率
  • 行列のトレースに関する問題
  • 不定積分の問題 tan(x/2) = t とおいて解く問題

名大の数学は他の旧帝大の中でも比較的簡単かつ基本的な問題が多い印象を感じました。しっかり、早い段階から基礎を徹底研究などで勉強すれば数学が苦手でも対策可能だと思います。

出来は7~8割

 

物理(1時間)

力学は、台上の質点がdv/dxで移動し、質点が台から離れるための条件

また、台の運動が単振動になった場合の条件

 

私は力学が本当に苦手なので、あまり点は取れませんでした。電磁気が割と得意なので合わせて5割取ればよいと逆に開き直って臨みました。

 

電磁気は基本的な2つの点電荷の作る電界と電位、電界の最大値の問題に加え、平板コンデンサの上下の板がθの角度で斜めになっている場合の電気容量を求める問題でした。電磁気は完答できたので出来は5~6割

 

化学(1時間)

範囲はほとんど高校化学でした。

・ダイヤモンドに関する語句問題、黒鉛と比較した結晶構造や導電性の違いについての記述
・フタル酸についての語句問題
有機化学の反応式 (diels alder 反応、マルコフニコフ、サリチル酸と無水酢酸との反応

化学の新演習高専の化学という参考書をすればすべて解けるような内容でした。

出来は9~10割

 

筆記試験に関して、自分は6割ボーダー説の信者なので、試験終了後いけたと思いました。

 

2日目 口頭試問・面接

化学系学科を編入する上で困難があるとすれば、面接や口頭試問で何を聞かれるのかがわからないところだと思います。実際、僕もそうでしたので専門科目の口頭試問として、NMRやFT-IRなどの分析装置の原理の理解や有機反応を反応機構で論理的に説明できるように準備していました。

面接

  • 志望理由
  • 名大でしたいこと
  • 今後の進路

口頭試問

A4の用紙に化学に関する様々な項目が記載されており(芳香族、高分子、量子化学etc)

その中で一つ選択し、それに関する問いに答えるものです。

私は"触媒”を選択しました。

  • 実際の工業化で用いられる触媒反応を2つ(ハーバーボッシュ接触法と回答)
  • 現在のハーバーボッシュでは鉄触媒ではなく、何が利用されているか(ルテニウム触媒)
  • ルテニウム触媒を用いると、これまでハーバーボッシュ法で問題だったどの部分が解決されたか(高温条件)

触媒勉強しててよかったです。

 

まとめ

2017年から東工大と東北大の受験日が同じになってしまったので、名大を併願校にする受験者が多いです。そういった人たちに負けないように早い段階から基礎力を高めていければ対策可能だと思います。

 

残念なことに、名大は生協で過去問を販売していますが、最新の過去問はなく、ある特定の期間に名大の窓口でのみ見ることができます。地方の高専生のために、もし都合が合えば私の方でも確認しようとは思います。

 

最後に、化学系の編入体験記が少ないので他大に限らず、後輩のために足跡を残してほしいです。

 

 

編入体験記(東京農工大学工学部化学システム工学科)

はじめに

東京農工大学工学部化学システム工学科を受験した理由は、化学工学と触媒化学を学びたいのと、先輩からの評判が非常に高かったのが主な理由です。本命である名古屋大学と範囲も似ているため負担になりにくく、第二志望校として受験しました。

 

農工大受験で注意する点として、一般の募集人数が推薦の結果に影響されるということです。化学系学科の定員が約6人であるため、残った枠を一般で争う形になります。

 

平成30年度の一般での倍率

  • 化学システム工学科 受験者7人 合格者3人
  • 有機材料化学科   受験者5人 合格者4人
  • 応用分子化学科   受験者13人 合格者3人

この年は応分の倍率が異常でした。

 

試験1日目(筆記試験)

 

数学(90分)

農工大の数学は傾向が例年同じ且つ、難易度も高くないので満点狙っていきたい。というか他の受験者も満点を取ってくるので絶対に取らなければいけません。

なお、私は計算ミスなど大ポカをやらかしていました。

出来は6割くらい

 

英語(90分)

長文読解が2問と40~60文字くらいの英作文

  • 長文読解1 音を合成したらハンプティダンプティの声になった
  • 長文読解2 natural medicineとunnatural medicineの違い(薬における化学的療法と民間療法の違い)
  • 自動運転の車が賛成か否か、自分の意見を40~60字で記述する問題

難易度はそこまで高くないため、前もって準備すれば問題なく対処可能だと思います。

出来は9~10割くらい

 

理科{物理+化学}(75分+75分)

一番差が出やすい科目だと思います。理科のしんどいところは物理を終えた後、すぐに化学が始まるのでつまり、150分ノンストップで解かなければならない点です。

 

物理

投石器に設置されている石の各運動方程式を求めたりする問題でした。力学が苦手な私は手も足も出ず、書けるところだけ書いて、ほとんど白紙に近い形で提出することになりました。

 

電磁気はあまり覚えていませんが、点電荷クーロン力と電界、最後に電位を求める非常に基本的な問題でした。

出来は合わせて5割くらい

 

化学

本当に申し訳ないのですが、ほとんど覚えていません。

有機化学無機化学、物理化学からそれぞれ出題されます。

農工大の過去問は公開されるのでそちらを参照してください。

出来は6割くらいと学校の受験報告書に書いてました。

 

試験2日目(口頭試問・面接)

化学系学科の口頭試問・面接は4つの部屋を巡って行われます。

 

第1R 有機化学&英語の部屋

  • A4の英語で書かれた実験操作を和訳して答える問題
  • アルコールの酸化的合成と還元的合成とそのどちらでもない合成を答える問題

第2R 無機化学の部屋

  • CO と N3を Lewis 式で書く問題
  • VSPER で SF4を書く問題

第3R 物理化学の部屋

  • Cv と Cp を定義式で書き、両者の関係式を書いた後、その式は何というか説明(要はマイヤーの式)
  • ラウールの法則とヘンリーの法則の違い
  • ギブスエネルギーとヘルムホルツエネルギーの違い

後二つありましたがポンコツ故忘れました。

 

第4R ただの面接

質問内容

  • 志望動機
  • 試験の出来
  • 農工大に入った後でやりたいこと
  • 将来の夢
  • 英語の資格(TOEICなど)
  • 併願大学の状況
  • 全部受かったらどこに行くか
  • 同じ高専でほかに農工大の受験者はいるか

まとめ

農工大を受験するにあたって、数学、英語は基本的な問題が多く、例年通りであるため基礎の徹底が重要だと思いました。

物理、化学に関しても範囲が広いため、早い段階から対策することが大事です。

しかし、試験の傾向に癖がそこまでないため、併願しやすい大学だと思います。

編入体験記(岡山大学工学部化学生命系学科

はじめに

併願校として岡大の工学部を受験したわけですが、数ある大学の中でなぜ岡大かというと

  • 地元の国立大学(筆者は岡山出身)
  • 化学系学科は調査書、面接・口頭試問のみ

つまり、併願しても第一志望負担になりにくいという大きなメリットがあります。

また、噂ではTOEICの点数が高いと非常に有利ということもポイントでした。

岡山大学自体は中四国でかなりのブランドがあるため、地元で就職するならおすすめです。非常に個人的な話ですが、生粋の岡山県民の間に生まれた子ですので、

親が非常に喜びます

 

 口頭試問も例年の受験報告書をみる限り、そのようなものは出ていないので面接だけのつもりで臨みました。(しかし、この慢心が後に波乱をよぶことに…)

 

受験当日の前に…

受験前日にあるトラブルがあったので、興味のない方は飛ばしてください。

 

岡山の実家に帰り、明日着るためのスーツをハンガーに掛けようとしたとき、お母さんから衝撃の発言が飛び出しました。

 

「あんた、下、それ制服じゃが」

 

時が止まりました。スーツのパンツだと思って持って帰ったものの正体は、高専の制服でした。しかし、まだあきらめていない。ここは実家、スーツならいくらでもあるに違いない。ぼくのママに兄貴のスーツを貸してとお願いしましたが

 

おれの兄はデブだった

 

身長165センチ、体重80kgというアンバランスな体形の兄貴が着用していたスーツが、比較的細身の自分に合うわけがありません。しかし、どうすることもできなかったので肩幅も合わず、パンツもダボダボな姿で受験に臨むことに…

 

受験当日

岡山大学津島キャンパスに、4年席次12位という微妙な順位とTOEIC705という、自慢するには足りてないスコアを引提げ、極め付けは、歳の離れた兄弟のお下がりを無理やり着ている中学1年生のような姿で訪れました。

 

集合の時間になり、他の受験生の数の多さに驚いたが、ネクタイが結べずお母さんに結んでもらっている受験者もいたので、なんとか落ち着きを保つことができました。

 

化学生命系学科の全受験者数は33人、内6人が推薦でした。自分の 面接・口頭試問の順番を待っている間に面接終了後の研究室見学の希望の紙を記入していました。また、待ち時間は勉強してもいいそうでしたので本命の名古屋大学の過去問を出して威嚇しようと思いましたが、斜め前の受験者のカバンから東工大の英語の赤本がチラッと見えたので、DUO3.0 を手に取りました。

 

いざ面接!!!

と思いきや、部屋に入ると何やら透明な液体が入った瓶と数枚の紙が置かれていました。

出身学校と受験番号を述べ面接が始まりました。

30秒の志望理由などを述べた後、(出るとは思っていなかった)口頭試問が始まりました。内容は英語と化学です。

 

英語はA4の紙に記されている英文を読み、試験官の問いに答えるものです。

文量も少なく単語も簡単でしたので、そこまで脅威ではありませんでした。

 

化学は、先ほどの透明な液体が入った瓶の中身を明らかにする方法でした。

単純に考えてNMRだと思ったので答えると

 

「ほかには?」

FT-IR

「ほかには?」

ガスクロ、液クロ

「ほかには?」

出てきません

「ありがとうございました」

 

最後に岡大工学部の受験では30秒の自己PRがありました。

 

面接・口頭試問まとめ

  • 志望理由(30秒)

  • 併願校(正直に言いましょう)

  • 英語の資格の有無(TOEICなど)
  • 口頭試問1 A4の英文を30秒読み、その後質問に答えるもの

  • 口頭試問2 未知試料を明らかにする手法

  • 自己PR(30秒)

 

結果は合格でした。推薦の受験者は全員合格していましたが、一般での受験者は27人中7人と思ったより高倍率でした。TOEICの点数が受験の合否に深く関係していると考察してます。

 

研究室見学

参加の有無によって入試の結果は変わらないということですが、せっかくなので行ったほうがいいでしょう。いろいろな研究室を回り、来年自分が岡大にいるつもりで真剣に吟味しました。ある大学院生の方とも仲良くなり談笑していた時に

「お前のスーツでかくね!?」

 

受験生の方へ、スーツはちゃんと持ってきましょう。

 

編入体験記(化学系学科からの編入)

はじめに

高専での5年間が間もなく終わりを迎え、最高に暇な時期がやってきました。

ということで後輩たちのために何かを残すべく受験の動機や感想、勉強法などを徒然なるままに書いていこうと思います。

 

受験した大学(受験日程の早い順から)

 

yoshiki-okym.hatenablog.com

 

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 自身のスペック

米子工業高等専門学校物質工学科

TOEIC:705点

順位: 1年10位 2年8位 3年7位 4年12位 (うろおぼえ)

得意科目:化学 電磁気 英語?

東大や東工大などのトップ大学を目指している人たちに比べれば圧倒的にしょぼいですハイ。

 

各大学の体験記は後に追加していく予定です。

 

受験勉強について

3年生

大学を意識し始めたのは3年生の時くらいで、それまでは英語弁論やトビタテの高校生コースでカナダに留学するなどそれなりに楽しい毎日を送っていました。TOEICの勉強も少しずつ開始し600点超えるくらいの実力がついたところで満足していました(米子高専ではTOEIC600超えると一目置かれるほど低レベルな英語環境でしたが)。

 

4年生前期

数学の勉強を始め、定番の編入数学徹底演習(櫻井基晴著)を半年間かけてだらだらやってました。

勉強時間 2時間 / week

 

4年生後期

 受験する大学の過去問を集め、傾向を調べました。編入数学徹底演習から編入数学過去問特訓に代わりました。

勉強時間2時間 / week

 

…4年のとき、数学しかやってない

 

5年生春休み

さすがに危機感というのが芽生え始め、今まで「モチベが上がったら勉強しよう」とか「俺ならいけるんじゃね」とか甘いことを言ってる場合じゃなくなりました。

 

とりあえず

「10時間勉強しよう」

 

数学:過去問特訓と名大、農工大の過去問

物理:サイエンス社の基礎物理学演習ⅠⅡ 過去問

化学:過去問 化学の新演習

英語:なし

 

勉強場所は、家→スタバ→サイゼリヤと梯子しながら集中力を切らさないように努めました。

勉強時間10時間 / day

 

5年 4・5月

研究室が進路決まるまで卒研しなくていいところでしたので、日中は受験勉強に集中していました。他高専編入事情を見るに、今ではそういった研究室がほとんどですが。

 

TOEICを受け705点だったのでこのスコアで提出しました。

勉強は実践力を鍛えるため、問題集ではなく東北大や電通大の過去問をしていました。

英語はいまだ手付かず

勉強時間10時間 / day

 

5年 6月

岡山大の入試を控え、適度に面接練習をしながら前の月と同じようなペースで勉強していました。ここで初めて英語の勉強を開始する。

数学・物理・化学は他大の過去問、英語は志望校の赤本で勉強しました。

勉強時間10時間 / day

 

5年 7月

農工大の受験を終え、少し精神的に疲れたので実践力を養うわけでなく、今までの復習のみをして名古屋大に臨みました。

勉強時間8時間 / day

まとめ

受験を振り返って、一緒に勉強で高め合う存在が欲しかったです。クラスではあまり、そういった学生がいなかったので他学科の編入仲間や徳山高専の東大に行く子を仮想のライバルとしてモチベーションを保ってました。

 

学生によっては編入なんて朝、歯を磨くがごとく合格する人もいれば私のように悪戦苦闘する人もいます。そんな人へ一番伝えたいことは

 

「まずは1日10時間勉強しよう」

 

Twitter:@okyman106